さあ、今回は受験する大学を絞り込む上での一つのアプローチを紹介する。
大学を選定する上での参考にしていただきたい。
アプローチ
大学を比較し、どの大学に進学するのが努力対効果という観点から良いのかを比較・検討する。
つまり、大学の評価が高く、比較的入学し易い大学を選定するという事である。
今回は以下のアプローチで大学を比較し、絞り込みを行う。
1. 大学ランキングの上位にランクインしている大学で”ロングリスト”を作成 (大学の評価を測る)
前半で使用した以下の世界大学ランキング全てにおいてTop100にランクインしている大学
・Times Higher Education World University Rankings 2014-2015
・QS World University Rankings® 2014/15
・Academic Ranking of World Universities 2014
2. ロングリストの中から更に合格率(Acceptance rate)、入学時の成績(平均GPA)、共通テストのスコア等様々なデータで比較し、”ショートリスト”を作成 (大学の入学難易度を測る)
3. ショートリストの中から入学難易度の観点から”ベスト”な大学を抽出し、その大学を最も良い選択旨として本項の結論とする。
1の大学ランキングにおいて、足きりを行い、更にその中から入学条件や大学の特徴等から優劣を付けていき、最終的にその優劣の高い上位数校をショートリストとする。
つまり、ショートリストにある大学は、大学のレベルが高い(世界で認知・評価されている)割には入学難度が低くコストパフォーマンスが高い大学という事になる。
そして、その中で最も入学難易度が低いと考えられる大学を特定する。
ロングリストの策定
まずは、以下の大学ランキングを使用して足きりを行う。
・Times Higher Education World University Rankings 2014-2015
・QS World University Rankings® 2014/15
・Academic Ranking of World Universities 2014
3つのランキング全てにおいてトップ100以内にランクインしているアメリカの大学を抽出し、ショートリスト作成のベースとなるロングリストを作成する。
上記の表にあるように、3つの大学ランキング全てにランクインした大学は28校あり、ロングリストとして抽出された。
大学名とそれぞれのランキングの順位を掲載している。
それぞれのランキングによってランクに多少ばらつきが見られるが、それは別の観点で評価された結果であるので、その分1つの大学ランキングを使用するよりも公平性が保たれていると言って良い。 これを見るとどれも聞き馴染みのある有名大学ではないだろうか。
これらは世界から認知されているアメリカのトップ校という事になるが、本当にこれらトップ校の中に入学し易い大学など存在するのだろうか。 それをショートリストを作成する事によって絞り込みを行い、検証していく。
ショートリストの策定
作成したロングリストにある大学の中から、更に絞り込みを行うため、入学に関する様々な情報(以下)を使用する。
ロングリストの28校ごとに、以下の項目が平均値以上であれば”○”をつけていき、最終的に”○”の多い学校をショートリストとして採用する。
入学難易度
合格率 (Acceptance rate)
・“Startclass.com”に掲載されている合格率(Acceptance rate) (2014-15)を使用
・ロングリスト28校の平均値よりも高ければ”○”
平均GPA
・“Acceptancerate.com”に掲載されているTop 25%、及びTop75%のGPAの平均値(2013年度)を使用
・ロングリスト28校の平均値よりも低ければ”○”
平均SAT点数
・“Acceptancerate.com”, “collegeapps.about.com”, “satscores.us”,に掲載されているSATの点数の平均値(2013年度)を使用
・ロングリスト28校の平均値よりも低ければ”○”
SAT Subject Test
・SAT Reasoning Test /ACTは前出の28校全てにおいて必須なので、SAT Subject Testの要否をここに含める事にする。 “Collegeboard”に掲載されている情報を使用
・SAT Subject Testが必須でなければ”○” (Consider if submitted/Recommended等含む)
最低TOEFL点数 ・“americanexamservices.com”、及び各大学ウェブサイトに掲載されている最低TOEFL点数を使用 ・ロングリスト28校の平均値よりも低ければ”○”
基本情報
大学の規模 (人数)
・人数が多いほうが入学難易度が下がると考えられるので本項目を採用。 “Collegeboard”に掲載されている情報を使用
・ロングリスト28校の平均値よりも人数が多ければ”○”
学費
・学費は安いほうが入学のハードルが低いと考えられる。 “Collegeboard”に掲載されている”Out-State Tuition (2015年時点)”を使用
・ロングリスト28校の平均値よりも低ければ”○”
Financial Aid
・奨学金を受け取っている割合が高いほうがコスト面で入学のハードルが下がると考えられる。 ies (Institute of Education Sciences)ウェブサイトに掲載されているFull-timeの1年次の学生が受け取った全てのFinancial Aidのデータ(2012-13年度)を使用
・ロングリスト28校の平均値よりも高ければ”○”
留学生比率
・留学生比率が多いほうが入学難易度が低いと考えられる。 ies (Institute of Education Sciences)ウェブサイトに掲載されている留学生比率(2013年度)、Forbes、及び各大学ウェブサイトのデータを使用
・ロングリスト28校の平均値よりも高ければ”○”
人種 (アジア人比率) ・アジア系の学生が多いほうが入学難易度が低いと考えられる。 ies (Institute of Education Sciences)ウェブサイトに掲載されている留学生比率(2013年度)、Forbes、及び各大学ウェブサイトのデータを使用 ・ロングリスト28校の平均値よりも高ければ”○”
編入時の入学条件 (Requirement)
(前投稿にて、コミカレから編入という留学のスキームが良いという結論に至ったので、編入時の入学条件を加味して検討する必要がある。 )
編入合格率
・“transferweb.com”に掲載されている編入時の合格率(2012年度)のデータ、及び各大学ウェブサイトのデータを使用
・ロングリスト28校の平均値よりも高ければ”○”
Articulation Agreement
・アメリカの高等教育における単位互換と単位の認定の事であるが、この制度を採用している大学の方が編入に対して前向きであると考えられる。 “collegetransfer.net”に掲載されている情報を使用
・Articulation Agreementを採用している大学は”○”
最低TOEFL点数
・TOEFLを編入条件としていない方が編入難度は下がると考えられる。 各大学のウェブサイトの情報を使用
・TOEFLを編入条件としていない(Recommended含む)大学は”○”
SAT/ACT
・SATを編入条件としていない方が編入難度は下がると考えられる。 各大学のウェブサイトの情報を使用
・SATを編入条件としていない(Recommended等含む)大学は”○”
推薦書
・推薦書(Evaluation/Recommendation)を編入条件としていない方が編入難度は下がると考えられる。 各大学のウェブサイトの情報を使用
・推薦書を編入条件としていない(Optional含む)大学は”○”
参考
卒業率
・卒業の難しさなので入学の難易度とは直接関係ないが、参考値として入れておく。 ies (Institute of Education Sciences)ウェブサイトに掲載されているデータを使用
入学難易度
編入時の条件
参考
サマリー
上記にて”○”のサマリー表を作成し、○の総数が平均値以上だったものが以下となり、最終的なショートリストとなる。
つまり、以下の大学が国際的に評価が高く、その割には入学/編入が簡単な大学という事になる。
UCSD、UC Davisが14点でトップとなり、次にUC Berkeley、UCLAが13点と続き、上位4位までをカリフォルニア大学群が独占している。
また、ワシントン大学がUC Berkeley、UCLAと同点となっている。
公立の大学が多数を占める中、ボストン大学、ニューヨーク大学が私立としてショートリストに入っている。
ショートリストの中で最も入学難易度が高いのはミシガン大学となった。
“ベスト”な大学の特定
(入学が比較的簡単、かつ世界的に有名な名門大学)
前頁の表から、総合的に見るとカリフォルニア大学群の学校が良さそうであるが、以下の3つの編入という観点で今一度検証してみる。
編入時の入学難易度
前項で述べた通り、コミカレからの編入が入学条件、費用等の観点から最も良いという結論に至ったので、編入時の入学難易度の○の総数をカウントし、比較する。
TOEFLの要否
ショートリストの大学の中にTOEFLを必要としている/していない大学があり、当然、TOEFLを編入条件としている方が難易度が飛躍的に上がると考えられるので、これも条件に含める。
SAT/ACTの要否
SAT/ACTが編入条件となっていると難易度が飛躍的に上がると考えられるので、こちらも比較条件とする。
やはり、編入という観点で見ても上位に来るのはカリフォルニア大学の4校となり、また、これらの大学はコミカレからの編入に際してTOEFL/SAT/ACTを必要としていない。
○の数でUCバークレーと同様に4つがついているワシントン大学、ウィスコンシン大学はTOEFLを編入条件としているので上位4校と比べると留学生にとっては条件が厳しいと言えるものの、カリフォルニア大学4校に次いで入学条件が緩いので狙い目ではある。
テキサス大学、イリノイ大学、ニューヨーク大学、ボストン大学も同様にTOEFLは編入条件として設定されているが、SAT/ACTは必要ない。
ノースカロライナ大学、及びミシガン大学は編入条件としてTOEFL,SAT/ACTを設定しており、これらは編入難度が高そうである。
参考までに編入合格率を乗せているが、UCLA、バークレーはやはり人気が高いので合格率は他の大学に比べて低い。
他の大学にも言える事だが、1つの理由として、一部の専攻に出願が集中し過ぎ、学生があぶれてしまう事で合格率が下がっているという事がある。
例えば、UCLAのウェブサイトに掲載されている2014年の専攻別の編入合格率を見ると、人気のあるBusiness Economicsは12%の合格率であるのに対し、人気の無いギリシャ語・ラテン語は100%だったりする。
つまり、合格率だけで入学難易度を判断するのは誤りが生じる恐れがあるので、志望する大学を絞り込む際には、あくまで入学条件や基本情報等も加味して比較するのが良い。
総合的に評価をしつつも、編入条件でTOEFL/SAT/ACTが必要無いというのは、出願のハードルが飛躍的に下がるのでかなりのメリットであり、やはり結論としては、カリフォルニア大学の4校(サンディエゴ、デイヴィス、LA、バークレー)が努力対効果という観点でベストという事になる。
カリフォルニア大学の4校が上位を独占している。 これはどういうことだろうか。 実は、これには入学(編入)難易度がとは別に大きな利点がある。
アメリカの大学は編入の際に州ごと、あるいは大学ごとに編入の際に必要とされる単位が違う。
この特性から問題点が生じる事がある。 例えば、1つの州から違う州の大学に編入する際に、編入元の大学で取得した単位では編入資格を満たしていないといった事態が起きる可能性がある。
これはどういったことが問題かと言うと、ワシントン州を例に取って説明しよう。
仮にワシントン州には名門と呼ばれる大学がワシントン大学1校しか無いとしよう。
そうした場合、ワシントン大学に不合格となってしまった際に他の州の大学に編入する為の条件を満たせておらず、他の州の大学に編入する事が出来なくなる。
結果的にワシントン州内のかなりレベルが劣る大学に編入しなくてはいけない事になる。
その点において、カリフォルニア大学は複数キャンパスがあり(ショートリストにも4つのキャンパスが載っている)、カリフォルニア大学のいずれか1校に不合格だったとしても別のカリフォルニア大学に編入する事が可能なので、出願をカリフォルニア州内で完結させることが出来るのでリスクヘッジがし易い。
こういった利点もあるので、次の投稿では主にカリフォルニア大学4校に焦点を当て、議論を進めたい。
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