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  • 執筆者の写真Joe

やはり差別は「白人→その他の人種」への一方通行だった~コロナウイルスで露呈した事実~

更新日:2020年4月21日



新型コロナウイルスの蔓延によって、各国の医療事情、衛生問題、買い占め問題といった様々な問題が露呈しました。

この一件で、中でも「差別問題」は欧米の白人国家の潜在的な差別感情が表面化した顕著な問題の一つです。

ウイルス自体はいずれ収束するでしょうが、差別は収束しないばかりか、今後ますます過熱していく可能性があります。

病気、不安、差別のループ

日本赤十字社が新型コロナウイルス蔓延にともなう「3つの感染症」を紹介しています。

第1:病気

第2:不安

第3:差別

第1の感染症は病気そのもので、重症化して肺炎を引き起こすなど、身体に影響を及ぼす危険を指します。

第2の感染症は不安や恐れを表し、ウイルスに関してまだわからないことも多いため、不安にによって振り回され、気づく力、聴く力、自分を支える力を弱めるとしています。

第3の感染症は嫌悪、偏見、差別のことで、不安や恐れによって人間の生き延びようとする本能が刺激された結果、特定の人やグループ、人種などに対する嫌悪、偏見、差別が生まれます。

これらの3つの感染症は下記のようなプロセスで広がっていきます。

ウイルスによる病気が発生

未知のウイルスに対する不安

不安によって嫌悪、偏見、差別が発生

差別を受ける事の恐れから症状があっても医療機関の受診をためらい、更にウイルスが拡散

未知のウイルスに対する不安が高まる

このような不のスパイラルが生まれることによって、病気も広まり、不安も広まり、差別も更に広がっていきます。


各国で表面化するアジア人への差別

アメリカ

ロサンゼルスを中心に活動する「エイジアン・パシフィック・ポリシー・アンド・プランニング・カウンシル(A3PCON)」と「チャイニーズ・フォー・アフォーマティブ・アクション(CAA)」が3月25日に発表したレポートには、3月19日~25日の間に673件のコロナウイルス関連の差別の報告があったと記載されています。

その内訳として、「言葉による嫌がらせ」が67%、「人に避けられた」が23%、「ものを投げつけられるなどの暴力をふるわれた」が10%となっています。これら以外にも、交通機関への乗車を拒否されたり、唾を吐きかけられたりしたという報告があります。

ヤンキースの田中将大選手が日本に一時帰国しましたが、その理由として「感染以外でも身の危険を感じさせられる出来事があり」としています。また、ダルビッシュ有選手もアジア系住民が差別を受けたり、銃を購入する動きが出ている中で不安を口にしています。

イタリア

ワシントンポストによると、イタリアでは韓国人や中国人を中心に差別や暴行のケースが増加しているとしています。

イタリアの国立音楽院であるサンタ・チェチーリア音楽院では、アジア人の生徒は医師が診察し再登校を認めるまでレッスンを中止し、最低1週間は学校に来てはいけないと通達しました。

また、イタリア在住の中国人がガソリンスタンドに入るのを拒否され、「お前はコロナウイルスを持っているから入ることはできない」と言われ、ビンで頭を殴られ、重傷となったケースもあります。

フランス

フランスでは、地方紙「クーリエ・ピカール」が、新型肺炎に関する記事に、マスクをつけたアジア人女性を描き、「イエロー・アラート」という見出しをつけて掲載しました。

パリの日本料理店では「コロナウイルス、出て行け」などと落書きがされました。

また、アジア人への暴行やアジア人の交通機関の乗車拒否などが複数報告されています。

ドイツ

ヨーロッパでもっとも発行部数が多いと言われているドイツの週刊誌「DER SPIEGEL」(デア・シュピーゲル)は、表紙にガスマスクをした人物が赤いiPhoneを手にしている写真とともに「コロナウイルス メイド イン チャイナ」(CORONA VIRUS Made In China)と書いて発行しました。

また、エッセンの中国人の生徒が医師の診察を拒否されたり、ベルリンに住む中国人女性が大家にアパートを出ていくように通達されたりといったケースがあります。

イギリス

2月12日、イギリスのメディア、スカイニュースは中国人に対する差別が増加していると報じました。

また、ロンドンに住むアジア人への複数の罵声や暴行、強盗事件が報告されています。

例えば、ロンドンに住むタイ人の税務コンサルタントが暴行・強盗にあったり、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンに通うシンガポール人が暴行を受けたりするケースがありました。

上記以外にも個別のケースについても、英語版のWikipediaにたくさんまとめられていて載っていますので、興味のある方は御覧ください。

中国に対するヘイトは更に拡大

アメリカのトランプ大統領が新型コロナウイルスを「Chinese virus(中国ウイルス)」と呼んだり、「中国が事態を公表しなかったから、世界は今、大きな代償を払っている」と発言したりしたことでアジア系移民に対するヘイト感情が高まっていると言われています。

フランスの新聞各紙では、中国で感染拡大が始まった当初のタイミングで中国ウイルスと呼んでいました。

フランス政府も政府のサイトにコロナウイルスの伝染が「中国から広まった」と明記しました。

オーストラリアで最も多い発行部数を誇るヘラルドサンは、「Chinese virus pandamonium(中国ウイルスのパンダモニウム(pandemonium(大混乱)とpanda(パンダ=中国)を合わせた造語)」という見出しで新型ウイルスを報じました。

イギリスにおいても、政府関係者がコロナ危機が一段落ついたあかつきには、「中国政府は「報い」を受けるだろう」と警告していたり、英メディア「The Telegraph」の4月1日の記事には「Coronavirus means that we must now treat China like a hostile state」(コロナウイルスが意味することは、私達は中国を敵性国家として扱わなければならない)と書かれています。

今後も政治家の発言やメディアによって国民の差別意識が強く表面化していくことは避けられないでしょう。

白人国家でアジア人に対するヘイトクライムが多数発生、逆はない

各国政府が発表する新型コロナウイルス感染者数をみると、アメリカ、及びヨーロッパ各国では、アジア諸国を追い抜き、多くの感染者が出ています。

これまで、各国でアジア人に対するヘイトクライムが多く報告されていますが、その逆は聞いたことがありません。

日本、或いは他の国で、感染者数の圧倒的に多いアメリカ人に対してヘイトクライムが行われたといったことは聞いたことがありません。

或いは、アメリカの次に感染者数の多いイタリア人、スペイン人、ドイツ人、フランス人などに対するヘイトクライムが広がっているかというと、そのような気配はありません。

欧米社会に根強く残った潜在的なアジア人への差別意識が、「アジアで発生したウイルス」というヘイトを正当化する理由を得たことで表に出てきたのです。

今回の一件で、白人国家のアジア人に対する差別が多方面から指摘され、コロナウイルス終息後は経済的にも意識的にもアジアと欧米が分断される形になるとの見方もできます。

ウイルス終息後には欧米諸国から中国に対する報復措置がとられることでしょう。今後、欧米諸国においては中国資本を排除する動きが大きくなるでしょうし、また、差別が更に広がり表面化し、加熱していくことによって、アジア諸国が欧米諸国からヒト・モノ・カネを引き上げる動きにも発展するかもしれません。



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