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執筆者の写真Joe

日本人留学生の就職活動

更新日:2020年8月11日

留学生の就職活動について言及するが、どうやって、或いはどのタイミングで自己分析を行い、筆記対策をし、OB訪問をするのかといったような一般的な就活対策は他の就活本で参照頂くとして、本書では留学生はどのように就活を進めるのか、就活をする上でのポイント、そして実際にどういった就活をしてどういった企業に就職しているのかといった事例を紹介する。


まず、就職活動の方法として、「日本で就活」、「アメリカで就活」の2つに大きく分けることができる。 そしてそこから更に「国内/現地の大学生と同様に就活」か「留学生として就活」かに分けることができる。 

①国内大学生と同様に日本で就活 まず、①に関しては、国内学生と全く同様に就活をする、つまり、大学を休学するなどして日本国内で選考プロセスを行うという事である。 志望する会社が明確に決まっていて、その会社が留学生専用の採用プロセスを行っていない場合はこれだろう。

②留学生として日本で就活 ②は日本国内にいながら留学生として就活する、主には長期休暇の期間に留学生向けのキャリアイベントや留学生向けの選考プロセスを行うという事である。  日本にいながら国内学生とは違ったプロセスで就活を行うものである。 DISCOのキャリアフォーラムやマイナビ国際派就職EXPO等規模の大きなイベントは参加企業が充実しているし、最近は留学生向けの選考プロセスを取り入れる企業も増えてきたので、明確に志望する会社が固まっていなければ、こういった企業の中から選択するのが就活という観点から見て良いだろう。 

③現地大学生と同様にアメリカで就活 ③はアメリカにいながら現地の学生と同様に選考プロセスを踏むというものであるが1番難易度が高い。  この場合、就労するのはほぼアメリカになるので、留学生の場合永住権もっていない限りはビザの取得が必須となる。 

フルブライト・ジャパンによると、アメリカでの就職は極めて困難である。  外国人が採用される為には、雇用者は一定期間求人広告を出し、その職務を遂行できるアメリカ人が見つからなかったことが証明できてはじめて外国人の雇用が認められ、その外国人に短期就労ビザ(H-1B)が発行される。 

留学生がアメリカで就職する為には、アメリカ人にはない知識・技術・能力を持ち、それに見合った求職がある場合、あるいは高度な専門性を有する条件で雇用があり、その条件を満たしている場合に限り就職が可能となる。 また、本人が就職を希望していても、短期就労ビザは雇用側が申請しなくてはいけないので、ビザのサポートをしてくれる企業を探すのにも容易ではない。 

このように③の選択旨はあまり現実的ではない。

④留学生としてアメリカで就活 ④に関しては、アメリカにいながら留学生として就活するという事で、留学生向け就活イベントやキャンパスリクルート等が挙げられる。 日本で行われる企業説明会や実際に企業で働いている方に会って話を聞いたりするのは難しいかもしれないが、企業も完全に留学生に会わせて選考を行ってくれるのがメリットであると言える。 

まず、③はアメリカ人と同じ土俵で戦うには語学面でハンデがあるのと、何より就労ビザ取得が難しいのでこれは選択旨から除外する。

前章では企業の採用するタイミング(4月、10月等)に卒業時期を合わせることが可能であると述べたが、ここでは”採用プロセス”を合わせるか合わせないかという話をしたい。 そうすると①は企業の採用スケジュールに合わせるために休学をしたり、或いは選考の為に難度も帰国したりしないといけない可能性があるのであまり現実的ではない。 

以上を鑑みると②と④が物理的に就職活動がしやすいオプションとなる。 具体的には主に以下のようなオプションがあり、各就活のスケジュールは以下のようなイメージとなる。

1. 留学生向けの就職イベント(CFNのキャリアフォーラム、マイナビ国際派就職EXPO等) →日米両方 2. 留学生向けの就活サイト(マイナビ国際派就職、WORKS JAPAN等) → 日米両方 3. キャンパスリクルート → アメリカのみ



日本での就活・アメリカでの就活で色分けをして記載しているが、基本的には学期中はアメリカで就活し、休み中は日本に帰国して就活することを想定している。 また、これに記載している項目のみではなく、WEBテスト、筆記試験、面接(電話・直接)等は随時行うことになるだろう。 

情報収集、企業・業界研究は場所を選ばずにでき、また就活サイトを通じての応募等も日米両方でできる。 就職フォーラムも日米両方で開催しているので、学期中はアメリカ(ボストンキャリアフォーラム等)、休み中は日本(東京キャリアフォーラム等)に参加することになる。 しかし、キャンパスリクルートに関しては物理的にアメリカにいなければできない。

では、具体的に以下の3つの就活オプションに対して基本情報と対策を述べる事とする。 

1. 留学生向けの就職イベント 2. 留学生向けの就活サイト 3. キャンパスリクルート


1. 留学生向けの就職イベント

基本情報

留学生向けの就職イベントとは、就職活動中の海外大学に留学するバイリンガル学生と採用活動を行う企業とのマッチングイベントで、有名なものではDISCOが運営する”ボストンキャリアフォーラム”やマイナビが運営する”マイナビ国際派就職EXPO”等があり、また他にも以下のようなものがあるので参考にして頂きたい。

・ワークス・ジャパンが主催する“GLOBAL JOB FESTA” ・ベニングローバルが主催する“ジョブフェア” ・リクルートキャリアが運営する“バイリンガル合同面接会”等

また、キャリアフォーラムのウェブサイトにいくつか過去の参加者のデータが掲載されているので参考にして頂きたい。 以下はその中からいくつかを抜粋。


事前に応募した数は4-6社と答えた人が1番多く、次いで10-12社、1-3社、7-9社となっている。 また、19社以上と多数の企業に応募したと答えた人も12%いる。 

逆に13-15社、16-18社と答えた人は少なくなっており、数社に絞って出願する人と多数の企業に応募する人に2分されているようである。 

平均応募社数(加重平均)は9社となっている。 

事前にアポイントメントが設定できた数は1-3社と答えた人が1番多く、会社の数が増えるにつれて割合が小さくなっている。 平均アポイントメント設定数は4社となっている。 

平均9社の応募で、4社のアポイントメントが設定できているので、約44%の確立で採用担当者が会ってくれるということになる。 



キャリアフォーラム当日に訪問した企業数は5-8社と答えた人が1番多く、次いで9-12社、1-4社となっており、それ以降は訪問数が増えるにつれて割合が少なくなっている。 平均企業訪問数は9社となっている。 

平均アポイント数が4社であるのに対し、訪問数は9社なので、アポイントの有無に関わらず、企業ブースを訪問していることがわかる。 

キャリアフォーラム中に企業から内定をもらったと答えたのは全体の36.6%であり、平均アポイントメント数4社にこれを掛けると約1.5社という数値が得られる。 

これらを整理すると、平均としては以下のように、9社に応募し、4社とアポイントメントが取れ、1.5社からキャリアフォーラム中に内定が得られるという事になる。


平均で見ると、だいたいの人は9社くらいに応募して4社くらいと面接し(或いは説明会等に参加し)、キャリアフォーラム中に1社、ないし2社から内定をもらっているというような印象を受けるかもしれないが、内定を貰える人は複数の企業から内定を獲得し、そのような人が数値を押し上げている可能性もある。 そのため、対策をしておくに越した事はない。 

対策

まず、キャリアフォーラムに参加する人はどれくらい前から準備を始めているのだろうか。 下記はCFNウェブサイトに掲載されているデータである。 

1ヶ月、あるいは1ヶ月以上前から準備していると答えた人の割合が全体の70%以上を占めているが、これにはインターン目的の学生も含まれているので実際の割合は全体的にもっと前から準備を開始していることになる。

キャリアフォーラムに関わらず、就職活動に関して言うと、就職活動の準備をするのは早く始めるに越したことはない。 カレッジから大学への編入を前提とすると、理想的にはカレッジ時代からキャリアを意識して専攻選びやキャリアに関連した課外活動を始めるのが良い。 そして編入後すぐ(大学3年目)に本格的な就職活動(インターン、業界研究、企業研究等)を開始したい。

それを踏まえて、キャリアフォーラムには、大学3年目にインターン面接と企業説明会を目的として参加し、4年目には採用面接を目的として参加するのが良いと考えられる。

 キャリアフォーラム、キャリアイベントはなんといっても大抵毎年同じような企業が名を連ねるので、他の就活方法(留学生向けの就活サイト、キャンパスリクルート)に比べて対策が立て易い。 

下図は2013年、および14年のボストンキャリアフォーラムの参加企業の業種である。


上記の図を見ると、ボストンキャリアフォーラムに出店する企業はコンサルティング、金融、IT、機械、医療・製薬・衛生といった業種の企業が多い。 

また、下図は2013年、および14年の東京サマーキャリアフォーラムの参加企業の業種であるが、こちらもボストンキャリアフォーラムと同様に金融、IT、機械、医療・製薬・衛生が多いが、コンサルティングが相対的に少なく、消費財が多い。



年度によってばらつきがあるが、東京サマーキャリアフォーラムは参加企業が増加しており、ボストンキャリアフォーラムを上回っている。   また、企業は一般的に1年の学生の採用目標を決めて採用活動をおこなっているので、近年では東京サマーキャリアフォーラムの知名度増加とともに、企業の海外大生採用活動は東京に注力しているのかもしれない。  参加企業の絶対数、及び企業の採用方針を鑑みるに、東京サマーキャリアフォーラムを本番と考えて就職活動をすべきだろう。 また、東京サマーキャリアフォーラムで応募する企業(例: 消費財)とボストンキャリアフォーラムで応募する企業(例: コンサルティング)を分ける戦略も必要になってくるだろう。





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