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  • 執筆者の写真Joe

なぜアメリカの大学なのか Part2

前投稿で、国際的に見たアメリカの大学の評価を示したが、今回は大学卒業後の就職という観点でみてみよう。

アメリカの大学で身につけた高い英語力が評価される

  言うまでもなく留学によって高い英語力を身につける事ができる。 また、英語力はもちろんアメリカの大学では様々な国籍の学生と触れ合う機会が多いので英語以外の第3言語を身につける人も少なくない。 

 本当に海外留学で身につけた英語力は重宝されるのだろうか? 国内大学に英語ができる人はいないのだろうか? 日本人は英語ができないのだろうか? 「日本人は英語ができない」が定説化しているが、実際の所はどうだろうか。 

 結論から言えば日本人の英語力はやはり高くはないようである。

 ETSの「スコアデータサマリー2013年度版」によると、アジアの国で統計データが存在する31カ国のうち、日本は26位であり、これを見ると日本は非常に英語力が低いという印象を受ける。 しかしながらこの統計では受験者層と受験者数が標準化されていないことから必ずしも正確とは言えない。

 一方、 EF Education Firstというスウェーデンの語学学校が発表している「EF英語能力指数 (EF EPI)第4版」というランキングがある。 このランキングによると日本はアジアを含む63カ国中26位に位置づけられており、平均よりもスコアが高い。 (日本のスコア= 52.88, 平均スコア=52.29) EFによると日本人の英語能力は”標準的”である。 


 これらを見ると、日本人は英語ができないと言ってしまうのは少々乱暴だが、日本人の英語力は高いとは言えないのは事実である。





日本人の英語能力はそこまで高くはないようだが、それは具体的にどれくらいのレベルなのだろうか。  DISCOが2014年4月に発行した「海外留学生のキャリア意識と就職活動状況」に日本人留学生と国内大学生の英語力の比較がある。  日本人留学生は17.8%が”ネイティブレベル”、71.4%が”ビジネスレベル”と約9割がビジネスレベル以上の英語力を有しており、企業ニーズを上回っている。 一方で国内学生は”ネイティブレベル”、及び”ビジネスレベル”と応えた学生は合わせて7.4%しかいない。

 このデータに見られるように、国内学生の英語力は企業ニーズにミートしておらず、企業が日本人留学生を積極的に活用したがるのもごく自然な事である。 前投稿のデータと合わせて示唆を出すとすれば、日本人の英語力は高くないが、一方で企業は高い英語力を有する学生を採用したいと考えている。 その結果日本人留学生が身につけた高い英語力は就職時に有利に働くと言える。


アメリカの大学で身につけた高い異文化対応能力が評価される では英語力以外で就職時に有利に働くものは何があるのか。 以下のグラフは学生が採用選考にあたって企業に評価してもらいたいことについて、25項目の選択肢の中から5つまで選択した集計結果である。

これを見ると、”コミュニケーション能力”や”協調性”、”信頼性”など両者で高い項目がある一方、”異文化対応能力”を選択した学生は国内学生の7.1%に対し、日本人留学生は43.4%となっており、全頁で述べた”語学力”と同様、国内学生に比べ、日本人留学生は異文化対応力が自信の強みであると自覚しているようである。 

 一方で企業もそういった学生の獲得を望んでいるようである。 下のグラフはDISCOが1000社以上に対して行ったアンケートの集計で、企業が日本人留学生を採用する目的として最も多いものは”優秀な人材を確保するため”といった国内外の学生に当てはまる項目であるが、他の項目を見てみると”海外経験で培った感性・国際感覚を発揮してもらうため”、”自社(またはグループ)の海外法人に関する業務を行うため”、”海外の取引先に関する業務を行うため”といった異文化対応能力に関連する項目が多い。  このように、留学生は異文化対応能力を自身の強みと感じており、また企業もそういった強みを持つ学生の採用に意欲的であるという事が分かる。




アメリカの大学で身につけた高いバイタリティーが評価される

そしてもう一つアメリカの大学に進学することによって得られるメリットがある。 国内の大学に進学せずにわざわざアメリカの大学に進学するのだから、企業からは強固な意志を持ち、行動に起こすことのできる人だというバイアスのかかった評価をされるという事である。   実際に行動力やバイタリティーに欠ける人でも留学をすることによってそれらの能力は既に備わっていると企業に評価されるのでこれはお得なバイアスである。  前出の学生が企業に評価してもらいたいことの集計では、”バイタリティー”を評価して欲しいと回答している日本人留学生は23.9%であり、”コミュニケーション能力”の46.9%や”異文化対応力”の43.4%と比べると約半分となっている。   一方で、企業側の期待値を見てみると、日本人留学生に求める資質で1番高い項目が”バイタリティー”(51.4%)であり、国内の大学生に期待しているパーセンテージに比べて2倍以上も高いことが分かる。

日本人留学生はそれほど自身の強みが”バイタリティー”であるとは思っていないにも関わらず、企業は日本人留学生の”バイタリティー”が欲しいと考えている。 国内学生の値と比較しても非常に高くなっており、日本人留学生が自覚していない箇所で企業が勝手に国内学生と日本人留学生を差別化してくれているのである。




サマリー

 ここまで、”入学~卒業まで”と”卒業後(就職時)”に分けてアメリカの大学に進学する努力対効果の高さを説明してきた。   入学~卒業までで努力対効果が高いと言ったのは以下の理由からである。 アメリカの大学は世界的に評価が高いと思われている。 また、大学によって差があるが、入学試験が無い、共通テストが免除される等の理由からアメリカの大学は国内の同等の評価の大学に比べ、入学難易度が低いと考えられる。 

 また、卒業後(就職時)に関して言えば以下の様な事が挙げられる。 日本国内には英語ができる人材が乏しいので、企業は積極的に日本人留学生を採用する。 また、異文化対応力・バイタリティーが国内学生との差別化要因となり、就職には有利に働く。   ここで疑問が湧き上るかもしれない。 全頁で挙がった企業が期待する項目は日本人留学生全般に関するものであり、アメリカの大学に留学している学生に限った期待値ではない。 卒業後(就職時)に関して言えば留学先がアメリカである必要は無いのでは?   ここでまたDISCOのアンケート(次頁参照)を見てみると、”積極的に採用したい学生の留学経験地域”として1番多いのは”国や地域にはこだわらない”で48.6%である。  そうは言っても留学する立場からすればどこか地域を選択しなければならない。 このアンケートを見ると、次に回答率の多い“北米”(31.8%)がベストチョイスである事が分かる。

次回以降は、留学のメリット・デメリットをお金や時間の観点で詳細に比較していく。



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