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企画書は入社前に出せ!どんな会社にも採用される最強の方法



私は、イギリスのオックスフォード大学のMBAに在学していたときに現地で就職活動をしていて、アジア人で英語も非ネイティブといった立場でありながら、イギリス現地のフィンテックユニコーン企業をはじめとする名だたる企業からオファーを頂きました。

かつ、私のバックグラウンドはコンサルティングであり、非ネイティブの外国人を採用するニーズが極めて低い戦略・企画ポジションで現地企業からオファーを勝ち取りました。


戦略・企画ポジションは、英語がネイティブの優秀なホワイトカラーが現地に履いて捨てるほどいるので、海外からの留学生がオファーを勝ち取るのは非常に厳しく、いくらトップビジネススクールを出ていても採用されるのは至難の業です。イギリスでの就職を希望していたオックスフォードのクラスメートの留学生たちのほとんどは現地での就職がかなわず、母国に帰っていきました。


そんな私が、現地の企業で複数オファーを頂いたその方法をご紹介したいと思います。

入社前からその会社を引っ張っていく姿勢


シンプルに言うと、採用前から企画書を書いて会社に送りつけて、 「私がこの企画を御社でやるから私を雇え」 と言うのです。


分かりやすく「企画書」としていますが、会社の問題点などを指摘して「こうやったら改善できる」という提案書でもいいですし、会社の5年後、10年後の成長戦略を描いてもいいと思います。


ちなみに私は、私が興味を持った会社の将来の戦略や新規事業案を考えて資料化し、会社に送りつけていました。 すると、現在人員採用をしていない会社からも「話を聞かせてくれ」と連絡が来たり、「とりあえずウチで週2日ほどパートタイムで働かないか?学校に行きながらでいいので(MBAの学生だったので)」といった連絡がきました。

基本的に私は大企業には興味がなく、先進的なテクノロジーを持ったスタートアップを見つけてはその会社の戦略や新規事業を考えて資料を送り付ける、ということをやっていました。 連絡がくればこっちのものです。スタートアップなので、連絡がきてオフィスに行くと、たいていの場合はCEOや他のCxOなど採用決定権のある人と直接話すことになります。


スタートアップの場合、コンサルタントを雇う余裕もないですし、外部の人から具体的にいろんなことを指摘されたり、戦略を提案されたりすることはあまりないでしょうから、ディスカッションをすると確実に盛り上がりますので、だいたい「明日からウチにきて働いてくれ」となります。


海外の企業は往々にして、いきなり本採用せずにまずインターンとして採用し、そこから本採用するケースが多いです。投資銀行やコンサルティングファーム、メジャーなIT企業などはその典型でしょう。スタートアップも例外ではありません。 なので、

まず戦略や企画を作って「こいつは面白い」と興味を持ってもらう 学校に行きつつインターンとして働く 結果を出してオファーをもらう

といった形のプロセスを踏んでオファーをもらっていました。

やることが明確でどのように活躍するか具体的にイメージできると採用


いきなり戦略や企画書を書いて送りつけてきて、しかもその戦略や企画の実行を自分にやらせろ、と言うなんて乱暴に聞こえるかもしれませんが、よく考えてみてください。


「入社してから何をするか不明瞭な人」「入社してから何をするか明確な人」だったらどちらを採用しますか?


私は自身の会社で面接や採用を行ったりしますが、採用するのは圧倒的に後者です。

部下を持つ側になるとわかりますが、部下のタスクを考えて、そのタスクを分解してそれぞれ人に振り分けるのにも骨が折れます。今までなかった業務やポジションを一から創るという話になればなおさらです。 入社前から、「今会社がやるべきことは○○で、私の役割は○○です」という人がいたら雇う側としてはどんなに楽でしょう。しかも会社を引っ張っていく意思が感じられるので頼もしいではありませんか。


この方法は、それまでの積み重ねがある転職者には最適の方法ですが、もちろん新卒採用にも当てはまるのではないでしょうか。外資系企業やスタートアップなどは特にこの手が使えるでしょう。 志望動機書や自身の強みなどをエントリーシートに書いて送ることはよくあるかと思いますが、企画書まで作って自分を売り込みに来る学生はそうそういないはず。不格好な企画書でもいいので作ってみて送ると嫌でも採用担当者の印象に残る。

私が事業会社で採用側の立場で面接をしたり人と会ったりしていましたが、入社してから何をするのか、したいのか不明瞭な人は優秀でも採用しませんでした。

「なんでもできます、なんでもやります」と言っている人は一見意欲的に見えますが、何でもできる人というのは世界中どこを探してもおそらくいませんし、なんでもやるというのは裏を返せば何もやりたいことがないというようにとらえてしまいます。

それよりは、例えば営業担当であれば、「入社一日目から大企業の○○や○○の役員が大学時代の友人なので、彼らに担当部署につないでもらい、提案の機会を作ることができる」と、入社前からセールスリードを持ってくる人は非常に心強い。私は実際にそういう人を採用したらすぐにリードを取ってきてくれました。


或いは、CFOのリクルーティングで、「入社したらM&Aをやりたい」と言っている人がいたら、採用前にM&Aをする会社の候補のショートリストくらい作って持ってきてくれると話が早いのではないでしょうか。或いは、資金調達がミッションであれば、つながりのあるVCや投資家のショートリストがあると話が早い。


戦略、企画書の例


参考までに、私がオックスフォードのMBA在学時に企業に送りつけていた資料の一部を少しだけ共有したいと思います。

下記はロンドンでブロックチェーン技術を使って仮想通貨のウォレットなどを開発している企業に向けた資料の一部です。 この会社は、当時、既に50億円程度を調達しており、業界ではリーディングプレーヤーと言われていたスタートアップです。 後に私がインターンとして働き、オファーももらいます。

業界関係者へのインタビュー

当時、特に日本を中心とした仮想通貨バブルが起こっていましたので、友達の日本銀行の人や財務省の人などに話を聞いて、日本としての仮想通貨に対するスタンス(通貨としての位置づけやこれからの規制など)などをヒアリングしたものです。マーケットの中心地である日本の出身者として価値が出せるということの証明になります。


業界の俯瞰図と潜在的な新規事業案

業界の全体像と、それを踏まえて自社でどのような事業を展開すべきかという新規事業案です。事業会社の方々は自身の事業を回すということにどうしても意識が行きがちで、自社の事業しか見えておらず、業界を俯瞰してみることが少ないので、こういったものもあると良いでしょう。



新規事業案

事業の簡単なスキーム、顧客への提供価値、潜在パートナー、マーケットサイズ(アドレッサブルマーケット)などを書いています。事業案があると、「このアイディアは良いけど、ここはどうかな」といったように事業の具体的な話に発展したりするので良いです。


下記は、別の会社の例で、ロンドンのウェアラブルテックのスタートアップに向けた資料です。 当時、社員が数名であるにも関わらず、シリーズAで20億円程度を調達していた会社です。 後にインターンとして働き、オファーをもらいます。

市場に存在する類似製品の整理図

スマホで実装されている機能がウェアラブルにも次々と実装されていっているということを整理した図です。上記と同様に、業界や他社製品を俯瞰してみることが少ない当事者にとっては面白いかもしれません。


ユースケースと将来的な戦略の全体像

当社の製品の機能拡張と新規事業への拡大イメージを表した図です。スタートアップファウンダーは自身で実現したい世界観があるので、こういった将来のビジョンや戦略みたいなことは議論が非常に盛り上がります。


まとめ


以上のようなものはほんの一部ですが、面白い企業を見つけたらこのような資料を作っては送りつける、ということをMBA在学時によくやりました。 (MBAの勉強やプロジェクトで忙しい中、インターンもやって、著書の執筆もして、趣味のバンドもプロのミュージシャン達とやって…そんな中で資料を作って送りつけまくっていたので、自分でもよくやっていたな、と思います)

もちろん、このような戦略や企画を描くにあたって、業界や会社に入ってみないとわからないことはたくさんありますので、わからないところは後々調査、検討する、と書いていれば良いのです。

採用前から企画書や提案書を送るというのはベンチャー企業、もしくはベンチャー気質のある企業やポジション向けには有効かもしれませんが、定型業務を安定的に回すようなポジションであったり、官僚的な組織には向かないかもしれません。

言われたことを言われた通りにやることが求められるような組織では間違いなく煙たがれるでしょう。 なので、そのような組織で働きたい人にはおススメしませんが、ベンチャーなど新人でも挑戦させてくれるような組織で働きたいのであれば、このくらいの前向きな姿勢を持っていてもいいのではないでしょうか。

また、こういったことを行う副次的な効果として、もし企画書や提案書を送ってその時点では何も反応がなくても、「そういえば面白い日本人がいたな」と採用担当者が覚えていて、新しいポジションの採用をはじめたときに「この前は縁がなかったけど、もしこのポジションに興味があれば検討してほしい」と連絡がくることがあります。 私も実際に、イギリス現地のフィンテック企業が後に日本オフィスを創設することになったときには真っ先に私に連絡がきました。(その頃は既に別の会社で働いていたのでお断りしましたが)

このように、後々採用につながることもあるので、長期的な関係を築くこともできます。 ぜひお試しあれ!


よく聞かれる質問

「海外で働くには就労ビザが必要で、ビザが外国人採用の大きなハードルになっている。特にイギリスなんかはブレグジットで外国人労働者のビザ取得が相当厳しくなったと聞くが、あなたはどうしたのか?」といった質問をよく聞かれます。

就労ビザは「就職先の会社が出してくれるもの」というイメージがありますが、結論から言うと、私の場合は、自分でビザのスポンサーライセンスの手続きやビザ申請の手続きをして自分自身が人事をやって取得したのですが、ビザ取得に関してはまたの機会に書きたいと思います。

筆者

西垣和紀