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アメリカの大学の入学条件・基準2

更新日:2020年8月11日

入学基準

前の投稿では入学条件について説明したが、次に入学基準、つまり”アメリカの大学はどういった基準で学生の選別をしているのか”という事を説明する。 

高校を卒業して1年次から大学に入学する際と大学、Community Collegeから編入する際のアドミッション(入学)担当者が学生を選定する上で重要と考える基準をそれぞれ紹介する。 

1年次から入学する時の基準 まずは1年次から入学する際の基準として以下の表を見ていただきたい。 


上記の表はNACAC(米国大学出願カウンセリング協会)が大学のアドミッション担当者に対して行った調査で、担当者が各項目に対する重要度を応えたものである。

各項目の最大値、つまり各項目に対して最も応えの多かった箇所を緑色でハイライトした。 これを見ると、1年次から大学に入学するのに重要度が高いのは以下の4つという事になる。 

重要度 ”高” ・高校での大学準備科目の成績 ・高校教育課程の高度さ ・全米統一テスト(SAT, ACT)の成績 ・高校での成績表における全科目の成績

そして、次に重要度が高い項目は以下であり、決定的に重要とまでは言わないものの、選別に当たり、十分に重要になってくると思われるものである。 

重要度 “中” ・エッセイ、作文 ​・学生の示す大学への関心度,興味 ・高校の進学カウンセラーの推薦書 ・高校の教員の推薦書 ​・クラスでの成績順位 ・課外活動 ​

残りの項目に関しては、重要度が低い、もしくは全く重要ではないという答えが多く、入学に際してはそこまで気にする必要は無いようである。 

これらの結果(重要度が高いと応えた割合)をトレンドで見る為の表が以下である。 


緑色で囲っている項目は重要度が高いと答えた割合が高く(50%以上)、また年平均成長率(CAGR)もプラスとなっているので、以下の3つの項目は重要度が高く、克つ、近年重要視される傾向にあると言える。 

・高校での大学準備科目の成績 ・教育課程の高度さ ・全米統一テスト(SAT, ACT)の成績

一方で、青色で囲っている項目に関しては、重要度が高いと答えた割合は低く(1%と2%)、また年平均成長率(CAGR)も大きくマイナス(-15.9%)となっており、以下の2つの項目については、重要度が低く、年々軽視される傾向にあると言える。 

・職歴 ・高校卒業試験の成績

 下記の表は学校の種類や規模ごとの割合であり、入学基準を重視している割合が学校の種類や規模と相関性があるかを見ることができる。 




これらの数値を見ると、大学の種類(公立/私立)・在籍者数・合格率・入学率によって重要度が高いと回答する割合に特徴が見られるのが解る (他のカテゴリーに比べて突出して高い/低いものを緑色でハイライトした)。 

公立/私立による比較

・“高校での大学準備科目の成績”, “高校教育課程の高度さ”, “高校での成績表における全科目の成績”等の項目は両者共に重要度が高い

・公立の大学は”全米統一テスト(SAT, ACT)の成績”を私立よりも重視している

・私立の大学は”エッセイ・作文”, ”高校の進学カウンセラーの推薦書”, “高校の教員の推薦書”, “課外活動 ”, “面接”を公立に比べてより重視している。

これらの指標から推測できるのは、公立大学は成績、テスト結果を重視し、システマティックに学生の選別を行っているのに対して、私立大学は成績、テスト結果に加え、エッセイや推薦書、課外活動に面接といった学生のパーソナリティを総合的に見て評価するようである。 

在籍者数による比較

・在籍者数に関わらず、全ての規模の大学は“高校での大学準備科目の成績”, “高校教育課程の高度さ”, “全米統一テスト(SAT, ACT)の成績”, “高校での成績表における全科目の成績”を重視している

・在籍者数が3000人以下の大学は”エッセイ、作文”, “学生の示す大学への関心度,興味”, “高校の進学カウンセラーの推薦書”, “高校の教員の推薦書”, “面接”を3000人以上の在籍者数をもつ大学よりもより重視している

・在籍人数が3000~9999人の中規模の大学は”ポートフォリオ、作品集”を重視していると答えたのは0%であり、これは専門的な専攻を提供する大学は小規模な専門学校のようなものと様々なカリキュラムを提供する大規模な大学に2分され、専門分野に特化した中規模大学はそもそも少ないという事であろう 

・在籍者数が10,000人以上の大学で”SAT科目テストの成績”を重視していると答えたのは0%である。 

これを見ると、在籍者数が3000人以下の大学と3000人以上の大学で大きく偏差がある。 リベラルアーツカレッジ等の小規模の大学は大規模の大学よりも、エッセイ、面接、推薦書等から判断される学生のパーソナリティーを重視する傾向にあるようである。 

合格率による比較

・合格率に関わらず、全ての大学は“高校での大学準備科目の成績”, “高校教育課程の高度さ”, “全米統一テスト(SAT, ACT)の成績”, “高校での成績表における全科目の成績”を重視している

・合格率が50%以下の大学は”エッセイ、作文”, “高校の進学カウンセラーの推薦書”, “高校の教員の推薦書”, “課外活動”を合格率が50%以上の大学よりも重視している。 

・合格率が85%以上の大学は”高校での成績表における全科目の成績”をより重視している。

合格率の低い大学、つまり難関大学はエッセイ、推薦書、課外活動等学生のパーソナリティーをより重視し、合格率の高い大学は高校での成績といった定量的に評価できる指標を重視し、システマティックに学生の選別を行っていると考えられる。 

これは公立/私立に見られる傾向と似ている。 

入学率による比較

・入学率が30%以下の大学、および30 ~ 45%の大学は”高校教育課程の高度さ”を他よりも重視している。 

・対して入学率が60%以上の大学では上記以外の項目のほぼ全てを入学率が60%より低い大学よりも重視している。

入学率が低い大学(人気の低い大学)は”高校教育課程の高度さ”を重視しているのに対して、入学率が高い大学(人気の高い大学)は全般的に入学率の低い大学よりも入学基準を重視している。 




サマリー 

 入学条件に関しては、”願書”, “成績証明書”, “共通テストの結果”等全ての大学で一般的に必須となっているようなものから”面接”や“ポートフォリオ”等一般的に必ずしも必要ではないものがあった。 

 そのような入学条件の中で、”大学側は何を重視しているのか”が本項の肝であった。 まず全体として、大学のアドミッション担当が最も重要と考える項目は以下であった。 

・高校での大学準備科目の成績 ・高校教育課程の高度さ ・全米統一テスト(SAT, ACT)の成績 ・高校での成績表における全科目の成績

そして、とりわけ”高校での大学準備科目の成績”, “高校教育課程の高度さ”, “全米統一テスト(SAT, ACT)の成績”に関しては近年益々重視される傾向にある。

こういった項目はほとんどの大学に共通して重要であると考えられるが、重要なのは大学の種類(公立/私立)、在籍者数、合格率や入学率によって各項目の重要度に偏差があると言う事である。 

言い換えると、自身の行きたい大学の入学したい大学の種類(公立/私立)、在籍者数、合格率、入学率と本項の表を照らし合わせる事によって自身の大学入学の対策を立てることができるという事である。 

本投稿の表を見ると、大学の種類、在籍者数、合格率、入学率から大きく2つの大学像が見えてくる。

1. テストの成績や高校での成績等からシステマティックに入学選考をする大学 ・公立 ・在籍者数が多い ・合格率が高い ・人気が低い

2. エッセイや推薦書等学生のパーソナリティーを含めて厳正に入学選考をする大学

・私立 ・在籍者が少ない ・合格率が低い ・人気が高い

これらは典型的な例だが、大学によって規模も合格率も人気もばらつきがあるので、自身の希望する大学と照らし合わせて考える必要がある。 

 自身の大学が求めている入学基準により近づく為、大学側が重視している項目には力を入れ、軽視している項目に対しては力を抜く事が必要である。



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