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執筆者の写真Joe

アメリカの大学に留学するデメリット ~ 高い学費をどう賄うか

更新日:2020年8月11日

平均値で見るとアメリカの大学のほうが日本の大学よりも学費が高いようである。 

college boardによると、アメリカの公立大学の学費は年間約220万円(1ドル=100円換算)に対し、日本の国公立大学の学費は約88万円であり、差額は132万円となる。

アメリカの私立大学の学費は年間約310万円(1ドル=100円換算)に対し、日本の私立大学の学費は約131万円であり、差額は179万円となる。

公立であれば138万円、私立であれば179万円の差額がアメリカへの留学のハードルを高くしているので、差額を補填する為の施策を考えなければならない。 

以下、学費を工面するために考えられる手段である。

お金を稼がずに学費を工面 ①奨学金・ローン ②学費の安い大学に入学し、その後本命の大学へ編入する ③留学期間短縮

お金を稼いで学費を工面 ④アメリカでお金を稼ぐ ⑤日本でお金を稼ぐ


①奨学金・ローン

やはり、留学費用の工面するのに代表的なものは奨学金・ローンである。 FULBRIGHT JAPANのウェブサイトによれば主な奨学金は以下の3種類である。

1. 日本国内で公募されている奨学金  主に財団によって提供される奨学金  FULBRIGHT JAPANのウェブサイト上で”アメリカ留学奨学金制度一覧”が参照できる

2. アメリカの大学・大学院の奨学金  ”Need Based”: 経済的に困難があるとみなされる学生に対する財政援助  ”Merit Based”: 学生の秀でた能力(学業成績、芸術的/身体的能力、リーダーシップなど)を有する学生に至急される財政援助

3. アメリカの研究所や助成団体、民間機関などによる奨学金 一般的に対象となる人物、グループ、選考分野、研究課題が特定された奨学金


これらの他にも政府系や民間の金融機関が扱う海外の教育機関に進学する人を対象にした教育ローン等がある。  こういった奨学金・ローンは財団が提供するものからクラウドファンディングのようなものまで多岐に渡り、一概にどれが良いとは言えないので、自身に最も合うものに応募頂く必要がある。  参考までに留学生向けの奨学金情報を集めるのに有用なサイトをいくつか載せておく。 

Scholarship Experts: 網羅的な奨学金データベースで1年ごとに内容が見直され、最新情報が掲載されている

FastWEB: 様々な情報を入力する事で最適な奨学金プログラムとマッチングしてくれるサイト

International Education Financial Aid Website: 専攻分野別に奨学金を検索できるデータベース


次の表は、2013-14の留学生の学費の資金源を表した表である。 これを見てみると、1番多いのが”Personal and Family”で6割以上の留学生が自身、或いは家族の資金に頼っている事が分かる。 

一方、枠で囲っている項目は大学や政府、或いはそれ以外の団体からの援助を主な資金源としている学生であるが、足し合わせると27.5%となり、実に3割近くの留学生が大学や政府、或いはそれ以外の団体からの資金を主な資金源としている。  このデータには大学院留学も含まれているが、留学生の約3人に1人が様々な機関からの資金援助を受けている事になる。 



奨学金・ローンは学費を工面する良好な手段である一方で審査があり、諸条件が整わなければいけないので、受け取るには不確実性がつきまとう。 また受け取れたとしてもMerit-basedの場合、成績が基準値を満たさなければ途端に打ち切りという事にもなりかねないので、奨学金に頼る一方でコンティンジェンシープランを必ず用意しておかなければならない。  


②学費の安い大学に入学し、その後本命の大学へ編入する

国内外の学費の安い大学から本命の大学に編入するという方法であるが、これは大学から留学する学生が行う一般的な手法であり、珍しい事ではない。 国内の大学からアメリカの4年制大学への編入というよりは、単位の移行が容易な点と学費の低さから現地の2年制大学(Community College)から4年制大学への編入という手段を取る学生が多い。 

③留学期間の短縮

アメリカの大学は単位制となっており、主にクオーター(4学期)制とセメスター(2学期)制を採用する大学がある。 

クオーター制では180クオーター単位、セメスター制では120セメスター単位で卒業となるので必ずしも卒業に4年間掛かるという事ではなく、4年以内で卒業する事が可能である。 

セメスター制を例にとってみると、秋・春学期に4クラス(1クラス=4単位)、夏・冬学期に2クラス取ったとすれば、秋入学と仮定して3年目の冬学期で120単位に達し、4年制大学を2年半で卒業できると言う事になる。  しかし実際には卒業に必要な科目が指定されており、それらのコースを受講するには他の必修科目(Prerequisite)を履修する必要があるので実際には2年半で卒業する事は難しい。 

それでも筆者の同級生には3年間で卒業した人も一定数いるし、筆者自身も3年半で卒業している(Community college: 2年 + 4年制大学:1年半)ので、4年以内に卒業しようと思えば十分可能である。 

College boardによると2014-15の2年制の公立大学(Community College)の学費は平均で3,347ドルである。  ただし、これは州内の学生が支払う金額であるので、仮に4年制大学と同じ割合で増加する(Out-of-Stateの学費はIn-Stateの学費の251%)とすれば、州外の学生が支払う2年制大学の年間学費(Tuition and Fees)は8,400ドルとなり1ドル=100円換算で84万円となり、4年生大学よりもかなり安い。

また、2012年のUS News National Universities RankingでTop50 大学において、大学入学者のうち、編入者の割合の平均値は27%であり、アメリカのトップ校は実に3割が編入生である。  編入をほぼ受け入れない私立大学が一部存在するが、基本的にアメリカの大学は編入に寛容であると言える。 

アメリカの大学では一般的に日本のように1年でXXXドルというより、1単位XXXドルといった形で学費が設定されているので、留学期間を短縮できたとしても学費自体は節約できないかもしれない(ただし、単位数に応じて1単位当たりのコストが変動する大学もある)。  ただ、短縮した期間の生活費を学費に当てる事ができると考えると副次的に学費を賄う事になるので本章に記載した。

ここまでは、”お金を稼がずに学費を工面する”という観点での施策を記載したが、ここからは”お金を稼ぐ”という観点から学費を賄う事を考えたい。




④アメリカでお金を稼ぐ

大学内で働く 大学内(カフェテリア・図書館等)でのアルバイトがメジャーだが、週に20時間までと決められており、給料も低い(筆者の卒業した大学は時給8ドル)。 1ヶ月にMAXで稼げる金額は約640ドル(20時間×8ドル×4週間)で、年間換算すると7680ドルとなる。 給料は低いものの、堅実に稼ぐ事ができ、克つ学内で友達も増えて英語、及びコミュニケーション能力の向上に繋がるといった利点がある。  他にも学内で有給のTA (ティーチングアシスタント)等の仕事がある。


大学外で働く CPTを活用したインターンシップ CPT(Curricular Practical Training )はFull timeの学生として1年間以上学校に通った後に大学の許可を受ける事によって学期中は週20時間迄、休暇や休日の間はその後の学期の授業に参加することを前提として、フルタイムでの就労を許可するものである。 

職種は専攻している学術領域に関連する職種に限られる。 また、インターンシップをすることで、それが単位となるようなプログラムを受講している必要がある等、諸条件が存在するのでInternational officeや大学のキャリアアドバイザー等へ相談するのをオススメする。 

上記以外では、基本的に学校の外で働くのは不法就労となるのでオススメはしないが、留学生の学校外での就労が横行しているのも事実である。 以下は筆者の知り合いが実際に学校外で働いていた例である。 


飲食店バイト 日本人留学生を採用するレストラン(特に日本料理店)は多い。 留学生という立場上、足元を見られるので時給は低い場合が多いが、繁盛店ならチップの収入でかなり稼げる。 また、地域によっては日本人向けのスナック・キャバクラ等があるのでそういった店でホステス・ウエイターとして働く留学生もいる。 

イベント企画 日本人向けのクラブイベントの企画をして稼いでいる者もいる。 企画・集客等を1人でこなすのは困難なので学生団体に所属してメンバーと一緒に企画する事になるだろう。 クラブイベントの他にアメリカ在住の日本人向けの婚活・恋活イベントの主宰をして参加者から会費を受け取ったり、留学生を採用したい企業の説明会を大学で開催し、企業からお金を受け取ったりするケースもある。 

バイヤー 日本の輸入業者がアメリカ在住のバイヤーを募集している場合がある。 週末等の休みを利用して気軽に買い物感覚でお金を稼ぐ事ができるのが魅力。 

車の仲介 アメリカでは車が無いと不便な事も多いので、車を欲しがる留学生は多い。 英語が上手く話せず、車の買い方が分からないといったアメリカに来たばかりの留学生を現地の自動車ディーラーに紹介する事でマージンを受け取っている者もいる。 

輸入ビジネス 日本から商品を輸入し、現地の人に売る人もけっこういる。 筆者の友人は日本のお菓子や服等をアメリカ在住の中国人に販売し、月に70万円稼いでいた。 

料理を振舞う 筆者の友人で、留学していた元料理人がおり、寮の友達から1食3ドル程度を徴収して毎日料理を振舞っていた。 夕食時になるとぞろぞろと元料理人の友人の部屋に様々な学生が集まってきて晩餐が開かれていた。 これは単純に楽しいし、人気者になれるので利点は多い。

ストリートパフォーマンス ダンサーやミュージシャンになるために留学してきたという学生の中にはストリートパフォーマンスで日銭を稼いでいる者もいる。

治験 国から薬として承認を受けるために行う臨床試験にモニターとして参加し、その対価として謝礼金を受け取るという事だが、1週間に2,3日の検査(30分~1時間)の為に通院すれば1ヶ月で3,000ドルの謝礼金が受け取れる等、拘束時間が短い割りにペイの良いものもある。 

卵子提供 エッグドナーとして卵子提供エージェンシーに登録し、卵子提供の謝礼金(6,000~7,000ドル)を受け取り、学費を賄う女性もいる。 

自ら仕事を受注 何か取り柄(デザイン・プログラミング等)があればクラウドワークス等のサイトを活用して仕事を引き受ける事ができるし、取り柄が無くてもデータ入力や翻訳の仕事がある。 他にも、筆者の知り合いでは日本語コースのプライベートチューターを有料で引き受けたり、観光客、出張者の案内・通訳を有料で請け負う者もいた。 

クラウドファンディング 人の心を打つような留学によって叶えたい夢があるのならクラウドファンディング等を利用して資金調達するのも良いかもしれない。 

以上に筆者の周りで実際にお金を稼いでいた人達のケースを挙げたが、あくまで数多い留学生の中の筆者の知り合いの例にすぎないので、この他にもまだお金を稼手法はまだまだありそうである。


⑤日本でお金を稼ぐ

休学して日本で働く 数学期の間大学を休学して日本に帰国し、日本でアルバイトをして学費を稼ぐというのはメジャーな方法であるが、当然の事ながら休学中はクラスを取っていないのでその分卒業が遅れてしまう。  ただし、前投稿に記述したように、アメリカの大学は必要な単位を取得すれば卒業出来るので1学期あたりの取得単位数を増やすことで卒業期間を4年以内に留める事は可能かもしれない。 

日本の大学に交換留学し、日本で働く 交換留学制度を利用してアメリカの大学から日本の大学に逆に留学するという手段もある。  筆者の知り合い(日本人)は交換留学プログラムを利用し、1年間日本の大学に留学し、学費を賄う為にアルバイトをしていた。  アメリカの学校の提携校なので1年間の交換留学で履修した単位はほとんど認められた。 また、そういったプログラムの場合、授業は英語で行われているので英語のブランクにはならず、国内大学でネットワークも築けるといった利点がある。 

オンラインコースを日本で履修しながら日本で働く 規模の大きな大学ならばオンラインコースを用意していることが多く、日本にいながらコースを受講する事が可能である。 その間、日本でアルバイトをして学費を稼ぐ事ができる。 ただし、大抵の大学ではオンラインコースで取得できる単位数の上限があり、長期間日本に滞在する事はできない。 

有給インターン 夏休みや冬休みを利用して日本で有給インターンに参加するのは学費を賄う、及びキャリア形成の観点からオススメである。 投資銀行でのインターンは留学生に特に人気である。  月に50~70万円の給料が支払われ、日本での滞在中期間中は会社が契約しているサービスアパートメントにタダで住めたり、昼と夜の食費が支給されたりする。  基本的に専攻は問わず優秀な学生を採用するので、競争率が高く、克つ激務だが挑戦してみる価値はある。 


以下の表は日本とアメリカの大学に通う場合の学費の差異である。



①日本の国公立大学に4年間通うと2,487,175円掛かるのに対し、②アメリカの公立大学に4年間通うと8,800,000円掛かり、その差額③は実に6,312,826円である。 

④アメリカの2年制大学(Community College)に2年間通った後に4年制大学に編入し、2年で卒業した場合、 6,080,000円掛かり、日本の国公立に4年間通ったコストとの差額⑤は3,592,826円となる。  2年制大学から編入する事で実に2,720,000円の節約となる。 

4年制大学同士の比較であればかなり金額の差が大きいが、Community Collegeからの編入を考慮する事で一気に差が縮まり、様々な施策(奨学金、留学期間短縮、国内外バイト等)を組み合わせる事によって賄うことができる。 

リスクとしては、大学内でのバイトは時給が安く、拘束時間も多いので、割りの良い有給インターンや前段で述べたような別の方法で賄う必要があるかもしれない。 


ということで、なんとなくアメリカの大学に留学する上での、コスト面での障害や解決策を理解していただけたのではないだろうか。

次回は、アメリカの大学に入学したは良いものの、卒業が難しいのではないのかといった素朴な疑問にお答えする。



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