すごすぎる! スタートアップで働く人のモチベーション
更新日:2020年5月2日

2019年12月7日に、セミナー「スタートアップか、それ以外か」が開催されました。
下記は、その内容のメモです。
スタートアップで働く人達がどのようなモチベーションで働いているのかを語っています!
登壇者者紹介
角田悠太(以下、角田):今は、L&Gグローバルビジネスという会社が運営する京都のホテルで働いています。CEOの龍崎翔子はフォーブスのアンダー30にも選ばれている経営者です。
私が入ったときは従業員が18人くらいのときで、この人数でホテルを回すのは本当に大変で、ベンチャー気質も非常に強い会社です。ベンチャーはテックやメディアなどが多いですが、うちはホテルベンチャーということで、今日は少し変わったお話ができればと思います。
前職もずっとスタートアップで、新卒一社目で入った会社は割と規模の大きなスタートアップで、オンライン辞書サービスを運営する会社に入社しました。それと、去年までは民泊の運営を個人でやっていたりして、母親と二人で清掃などのオペレーションをやったりしてました。そのときに、デザイナーと建築家に一緒に民泊事業をやらないかと声を掛けられて一緒にやってました。
西垣和紀(以下、西垣):私は新卒でコンサルティングファームに入社して、5年弱くらい戦略コンサルをやって、オックスフォード大学のMBAに留学して、その後はロンドンのスタートアップにスタートアップメンバーとしてジョインして、ロンドンでスタートアップをやりつつ、日本でもベンチャー支援の事業をしていて、あとは本を書いたり、レーベルに所属してバンドをやったり、アーティストみたいなこともやっています。
西本統(以下、西本):僕は新卒でインテージというマーケティングリサーチで最大手の会社に入社して、4年弱働きました。その後辞めて1年くらいニートをやってました。
まあ、ニートといいつつも、その間は、家庭教師やイベント設営、それから、シーメンスという会社で、ワードプレスなんかで使われてるCMS(コンテンツマネジメントシステム)の社内システムの移行を行うプロジェクトを2カ月くらいやらせて頂いたりしていました。
ちょうどその時にシェアサイクルのPippaを運営するオーシャンブルースマートという会社の社長と出会って2人目の社員として、本当に創業直後のときに入りました。その後、自分たちで市場調査をして、京都に進出することになり、今に至ります。
シェアサイクル業界は日本全国で見ると、東京や大阪ではドコモシェアバイクが流行っていて、あとはオープンストリートというソフトバンク系のところがあります。あと、メルカリさんがやっていたシェアサイクル事業があったんですが、撤退されたので、今はドコモ、ソフトバンク、我々という形になっています。京都に関しては、我々が独占的なマーケットリーダーのポジションを築いています。京都は今3人で回しています。
なぜスタートアップというキャリアを選んだのか
~会社、或いは社会って、実は一人が抜けたとしても会社、社会は回っていきますよね。だけど、自分がいる事で何か違う結果になる、その要素の一つにならないと自分が存在する意味が無い~
角田:私は、前職が民泊事業でAirbnbを中心に収益をあげていたのですが、去年に法改正があって、物件を所有しなければ運営が難しい状況になり、そうするとコストが高くなります。その他に物件を掲載するサイトなども運営したりしたんですが、オペレーションコストが高くなってしまい、メンバーも辞めてしまい、私はホテル業界にいくことにしました。
民泊事業を運営していて、何が楽しかったのか考えたときに、自身の強みである英語が使えて、また、お客様視点で細かいオペレーションの改善をするのが好きだったことに気づきました。大手が運営するケースが多いホテル業界ですが、そんなホテル業界でベンチャーとして工夫して戦っていくのに惹かれたのと、海外のお客様を楽しませたいということで今の会社に入社しました。あとは、ベンチャーなので自由にできるのが利点ですね。
西垣:私は、2つ理由があって、1つはやっぱり、大企業と比べて自分で裁量をもって事業を回せることです。大企業は一つの仕事をみんなで分担してやってるので、全体の仕事のひとつのモジュールというか、仕事の一部しか経験できないですよね。あと、大企業はコミュニケーションコストが高いので、新規事業をやるにしても社内調整に多くの労力を割かなくてはいけないので、実際の事業に使えるエネルギーが限られてしまいます。スタートアップであれば、自分で100%事業にコミットできます。
2つ目は、私は人と同じというのが嫌で、特に日本の大企業は4月の新卒一括採用で、同じ時期に研修をやって同じように出世していく…というのが嫌でした。なので、ロンドンでスタートアップやってて、別の会社で取締役やってて、ミュージシャンやってて…みたいなやつは一人しかいないと思うので、それが心地よいという感じですかね。
西本:私の場合は、前職は非常に安定した会社で、1年間に1回10連休取りなさいとか、フレックス出社してもいいとか働き方に関しては充実している会社ではあったし、離職率も高くない、女性比率も6割くらいで世間的に見て非常に良い会社だったんですが、「なぜ会社を辞めたのか」というところと「なぜスタートアップか」というところが繋がってくるのですが、私は就職するときに3年で辞めようと思ってたんです。
実際は3年半くらいいたんですが、「もし、今日が人生最後の日ならこの仕事をするのか」、或いは「自分が死ぬときにWikipediaに自分をどう書くのか」と考えたときに、安定した仕事で大企業の歯車として進んでいったときに、年収数千万とかもらえたとしてもそれって自分の人生が明確ではないなと感じたんです。
なので、3年間この考えが変わらなければやめようと思っていて、実際に3年くらい経ったときに辞めますといって辞めたんですが、その後のことを何も考えてなかったのでニートになったんです笑。
大企業というのは裁量、責任がないですよね。これからAI時代に突入する中で、私が一番重要だと思う事は、そこに自身の判断が介在するかどうかということです。要するに、会社、或いは社会って、実は一人が抜けたとしても会社、社会は回っていきますよね。だけど、自分がいる事で何か違う結果になる、その要素の一つにならないと自分が存在する意味が無いと思いますし、そこには自分が判断するということが必要だと思いますし、その判断の大きさはやはりスタートアップの方が大きいという考えなんです。スタートアップにも色々なフェーズがある中で、私自身はシード段階のスタートアップを探していて、偶然見つけたのが今の会社だったので、今の会社に入社しました。
スタートアップの働き方
~ある日、スタートアップで働き始めて、資料作ってたらCEOが来て、「お前資料作ってる暇があったら仕事しろ」と言われて、「あ、そっか」と~
西本:僕は基本的に休みとかないです。休んでる瞬間がないというか、朝起きた瞬間から仕事の事考えますし、夜寝るまでメールが来たりといったことはよくありますし、休日も同じです。夜23時から出て行かないといけないといったこともありますし、守られた環境ではないですね。
大企業との違いは、ワークライフバランスとか言ってられないし、給与の面でも会社の状況によって上下するし、上下とは言っても基本下振れですが笑。その分、自分たちでできる事が多くて、そこに自分の判断が介在してることは楽しいです。自分の判断したものが、すぐにプロトタイプになって、形になって、サービスになる。例えば、料金体系を明日変えるとかっていうことが可能なわけですよ。そういう楽しさがあるんじゃないですかね。
西垣:私の場合は、前職がコンサルティングだったので、戦略を考えるのが仕事だったんですね。スタートアップに行って一番の違いはやっぱり、スタートアップは実行するのみ。
大企業は、3年後、5年後の戦略、ビジョンを考えることは必須なのですが、スタートアップに関しては、走り続けないと明日死ぬかどうかっていう世界なので、PDCAサイクルって大企業だとどこでもあると思うんですが、スタートアップはDoあるのみみたいな世界観です。
ある日、スタートアップで働き始めて、資料作ってたらCEOが来て、「お前資料作ってる暇があったら仕事しろ」と言われて、「あ、そっか」と、スタートアップって戦略とか考えるのはそんなに重要じゃないんだと。なので明日の売上どう立てるかといったことの方が重要になってくる。キャッシュフローが一番重要、じゃないと死ぬって感じですかね。
角田:カズキさん(西垣)の言う通り、スタートアップでプランニングの話をする人はあんまりいなくて、アクションして結果を出すということが重要で、課題があったらどうやってその課題を解決するかという議論をみんなでする。しかもどれだけ低予算でその課題を解決できるか。何かを話し合って結局やらないっていうよりは、何かをやって結果どうなったかを話す方が良い気がするので、そのために一人一人がアクションを起こす。今の会社のホテルではそういった人が多いです。問題があって、或いはお客様がこう言っているのでこのアクションを取って、結果的にこうなりましたっていう報告が多い。
スタートアップで働く人、向いている人
~自分が30歳後半とかになったときになにもできないっていう状態にならないように投資の意味も込めてスタートアップで働いてます~
西本:正直、ワークライフバランスとか、毎日遊んでたいとかって無理なんですよね。ある意味、その犠牲を払ってやりたい事をやってる部分があるので、安定が欲しい人はたぶん無理。そういう人は大企業で働いたほうがいいと思いますし、大企業にどうにかして就職する道を探したほうがいい。正直、大企業のほうが安定してますし、最近の大企業は、例えば私の前にいた会社はジーンズでもOKだったりするので、そういう自由な働き方はできるようになってる。なので、小さい歯車でいたくない、何かをやりたいと思っている人っていうのが向いている。向いているというよりチャレンジしたほうがいいと私は思います。
西垣:スタートアップは、大企業みたいに指示されたことをやり抜くというよりは、自分でやりたい事を見つけて事業を創っていける人のほうが喜ばれるというか、そもそもスタートアップには受け身で仕事する人を雇う余裕がないので必然的にそういう人達になっていきます。
スタートアップは一昔前は中小企業と呼ばれてましたが、最近は本当に優秀な人が多いです。例えば、私がロンドンでやってたスタートアップは元ベーカーアンドマッケンジーの弁護士だとか、NASAとかMITで働いていたエンジニアとかがいて、そういう優秀な人材がスタートアップ市場にたくさんいるんです。大企業じゃなくて、自分で事業をやりたいと思う優秀な人が増えているんですね。
角田:スタートアップは人数が少なくて余裕が無いので、そういうのに抵抗が無い人の方がいいでしょうね。
スタートアップには、西本君みたいに経営者観点で仕事をしたい人がいる一方で、私は経営者になりたいわけではなくて、自分が30歳後半とかになったときになにもできないっていう状態にならないように投資の意味も込めてスタートアップで働いてます。なので2人の意見とは少し違いますね。
西垣:スタートアップってなんでもやらなきゃいけないんですよ。エンジニアであればプロダクトの開発にフォーカスできるんですけど、非エンジニアはなんでもやんなきゃいけないんです。ロンドンのスタートアップで、ある日、CFOと経理担当と、マーケティング・PR担当の3人が同時期に失踪したんですよ。その後は私が仕事を引きとることになって、経理とか全くやったことなかったんですがやる事になったり、そういうことがスタートアップでは頻繁に起こりますよね。失踪するんですよね、よく。
あとは、売上が上がってなかったら自身の給与を下げるとか。
西本:本当におっしゃる通りいろんな事やらなきゃいけなくて、僕の場合だと、前職で営業なんてしたことなかったんですけど、営業活動もしますし、入社4日目で資料作って大企業にプレゼンしにいったこともありました。営業が成功して仕事が取れた後もやったことないことだらけです。我々は自転車事業やってるんで、設置計画を作って、再配置業務をやったり、府や市とのやりとりも全部僕たちがやってますし、契約書も作ったことなかったけどひな型を作って先方とやり取りをして、それに対する売上の計画やアフターフォローなど全部やらなければいけないです。看板のデザインとかも全部自分たちで決めなければなりません。なので、アイディアをただ出すよりはやれ、やって結果をだせということですね。
スタートアップの探し方
~私としては自分のやりたい事をやらせてくれる会社じゃないと嫌だと言ったら社長が全部やっていいよと言ってくれたので今の会社に決めました~