前の投稿ではアメリカの大学への入学方法・手順を紹介したが、今回はもう少し踏み込んで入学にはどんな書類が必要なのか、或いはどんな資格が必要なのかといった入学条件、入学に際して、大学はどのような基準で学生を選定しているのかという入学基準についても、入学と編入という2つの観点から述べる事とする。
入学条件 入学条件に関して、以下に一般的に入学・編入に必要となる要件をリストアップし、説明を記載した。
1. 願書 (Application)
・多くの場合、留学先機関のホームページ上で願書や資料の請求、ダウンロードができるようになっており、願書は、入学希望時期の約1年前に入手するのが一般的である。 また複数の大学に共通で使える共通願書(Common Application)を採用している学校には共通願書を通して出願をする
・Application上で個人情報、バックグラウンド、エッセイ等を入力する
・他の出願書類の中には、オンラインで願書を送った後に、別途、大学に郵送するものがある(成績証明書、推薦状等)
2. 成績証明書 (transcripts)
・高校の成績証明書(High school transcript, mid year grade reports)を大学に直接送付する
・出願の時点で学校を卒業している人は、卒業証明書も必要となる
3. テスト結果 (Test score report)
・各テスト結果(SAT, SAT科目テスト, ACT, AP, TOEFL等)をテスト実施機関から大学へ直接送付する
4. 推薦状 (Letters of Recommendation)
・担任教師や高校の進学カウンセラー等の推薦状を直接大学へ送付する
・一般的に内容は以下のような事が想定される
出願者と推薦者との関係
学業・勤務評価、成績
専門分野に関する知識
長所を含む人物評価-物事に取り組む積極性、独自性、創造性、論理的・分析的思考力、あるいは、学生や教授、同僚や上司との人間関係等
入学した場合に期待できる学生の学業への姿勢や大学への貢献、期待される留学の成果、将来展望、社会への貢献
5. エッセイ(statement of purpose/essay)
・ほとんどの大学でエッセイの提出を義務付けており、テーマや文字量は各校で異なるが、一般的には以下のようなテーマが出題される
留学の志望動機
将来の抱負や目標
学術上、職務上の過去の実績、今までに修得した知識
専攻分野の志望理由や特に興味のある研究分野
資質や能力
問題意識
自己の人格形成のうえで、特に影響を与えたもの(本や人物など)
性格(長所)、学業以外も含め、特に秀でた才能、アピールできる能力、特技や活動内容
一番伝えたい自分だけの「物語」は何か?
・必須ではない大学にも自己アピールの材料としてプラス評価となる可能性が多きいので提出が推奨される。
6. 面接 (Interview)
・全ての大学が義務付けている訳ではないが、大学によっては入学に際して面接を課しているところもある
・冷泉彰彦著「アイビーリーグの入り方: アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準」によれば、アイビーリーグとそれに順ずる名門大学が面接を行う目的は以下としている
真剣に入学する気があるかどうかを確認する
年齢相応あるいはそれ以上の知識人候補としての資質を備えているかを見る
履歴書のファクト(事実関係)チェックを行う
7. 申請料 (Application fee)
・ほとんどの大学では出願に際して25~100ドルの申請料が必要で、払込み後は返金されない。 郵便局や銀行で、国際郵便為替や送金小切手を作成し、願書に添えて送付するか、最近ではクレジットカードによる支払いも増えてきている
8. ポートフォリオ、CV 等(Portfolio, CV)
・専攻分野によっては作品やポートフォリオの提出を求められることがある。 例えば、音楽専攻の場合はCDを、美術専攻の場合は絵や彫刻等の作品をスラ イド化したもの、演劇専攻はDVD等の提出を義務付ける大学もある
9. 高校卒業証明書 (evidence of diplomas / degrees)
・出願時点では高校を卒業していない為、提出は出来ないが、代わりに” mid year grade reports” (最終学期の成績の途中経過)を提出する場合がある
・編入の場合は高校卒業証明書を提出する
10. 財政能力証明書 (statement of financial support)
・留学のために保有している金額・財源などを示す書類で、大学の所定の用紙がない場合は、費用負担者の署名入りの保証書を作成し、銀行で発行した英文の預金残高証明書など、財政状況を証明する書類を添えて提出する。
・各種公募奨学金等で留学する場合は、各機関から同様の証明書を作成する
・大学によっては、財政能力証明書に公証人による署名(Signature of Notary or Public Official)をもらうように要求してある場合がある
11. 健康診断書 (health examination certificate)
・大学が書式を定めている場合はそれを使用し、定められていない場合は、病院で英文の健康診断書を発行してもらう。また、予防接種証明が必要な州もあるので、その場合も英文の証明書を発行してもらう
12. シラバス、講義概要 (syllabus, course description)
・日本の大学・短大で取得した単位をアメリカの大学に移行する際、日本で取得した単位の授業内容を、アメリカの大学が審査し、それがその大学・学部の卒業要件単位に該当するかどうかを判断して単位を認定する必要があり、単位認定の判断材料として英文成績証明書(transcript)に加えて、 各科目の詳しい記述(course description)、シラバス(syllabus)等を英文で作成して送付する
以上の要件に加え、留学生の場合、学生ビザ(主にF-1ビザ)の取得が必須となるので、参考までに次頁に申請必要書類を記載しておく。
Comments