元CIAや五輪選手とも知り合えた。オックスフォードMBAが教える「海外留学」5つのメリット。
更新日:2020年5月2日

高校中退後、日雇い派遣や路上スカウト、夜の仕事などをしながら荒んだ生活を送っていた西垣和紀(にしがき・かずき)氏。しかし彼は、一念発起して海外大学へ留学することを決意。カリフォルニア大学サンディエゴ校への進学、グローバルコンサルティングファームでの勤務を経て、最終的にオックスフォード大学の経営大学院でMBAを取得しました(※西垣氏の数奇なライフストーリーについては『高校中退の不良がなぜオックスフォード大学MBAを取得できたのか?』参照)
アメリカ・イギリス両方に留学経験のある西垣氏が語る「絶対に留学しておいたほうがいい理由」とは……?
【海外留学のメリット1】国際感覚が身につき、日本を客観的に見ることができる
「国際感覚」という言葉を聞くと、語学力はもちろん、いろいろな国の人たちとコミュニケーションを取る “異文化対応力” などが連想されることと思います。もちろん、語学力や異文化対応力は重要ですし、留学によって身につけるべき大切なスキルですが……。ここで、「国際感覚」を辞書で調べてみましょう。
国外のさまざまな文化や価値観を知り、自国内に限った観点ではなく国際的な観点からものを考えることのできる感覚。 自国の常識に囚われず、より広い価値観や考え方で物事を捉えるセンス。
(引用元:実用日本語表現辞典)
私を含め、日本で生まれ育った人たちからすれば、日本の常識や慣習、価値観が完全に染みついているため、ある種、感覚が麻痺しているようなもの。しかし、日本以外の国で生活し学習し働いてみると初めて、日本を外から客観視できるようになり、日本の良いところや悪いところが見えてくるのです。
私の友人でも、海外に留学したことで日本のすばらしさを実感したという人がいる一方で、日本の政治・社会問題にあきれ返り、日本にはもう戻りたくないという人もいます。ちなみに、私の場合はこの中間といったところでしょうか。日本のサービスや製品の質の高さといったすばらしい面を実感する一方で、日本人に欠けている部分も見えてきました。
例えば、私がアメリカに留学していた頃に痛感したのは「日本人のハングリー精神のなさ」です。私の周囲にいた、韓国・中国からの留学生たちは、必死で勉強し、母国に帰ったあとは国に貢献するという明確な意思を持っている人が多かったように見受けられました。一方、日本からの留学生は、語学留学や短期留学など数ヶ月程度遊んで帰っていくといった人たちが多く、日本人として危機感を感じたものです。
もし私が海外留学をしなかったら、このような危機感を抱くことなどなかったでしょうし、日本だけにとどまらず国際的なキャリアを築こうとも思わなかったはずです。

【海外留学のメリット2】良質な教育
進学の際に日本国外の大学にも目を向けたほうがいい理由の2つめとしては、教育機関・研究機関として、世界にはすばらしい大学がたくさんあるということが挙げられます。
大学のレベルを測るひとつの指標として「世界大学ランキング」があります。例えば『Time』誌で先日発表された「World University Rankings 2019」では、日本の東京大学は42位、京都大学は65位。上位にはイギリスのオックスフォードやケンブリッジ、アメリカのスタンフォードやMITなどが名を連ね、アジア圏でも、中国の清華大学や北京大学、シンガポール国立大学、香港大学などは東大京大よりも上位です。
こういった大学の特徴として、キャンパスの規模が日本の大学と比べ物にならないほど広大な点が挙げられます。さまざまな研究施設やレクチャールーム、図書館などが軒を連ねているだけでなく、広大なグラウンドやジム、プールなどの施設を持つ大学も多いのです。そして、充実したファシリティーだけでなく、教授陣も非常に優秀。私が通ったカリフォルニア大学では、ノーベル賞受賞者の教授たちが直接教鞭を取っています。
また、一般的に海外大学は課題や宿題がたくさんあってスパルタなイメージですが、実際そのとおりです。私がアメリカにいたときも、膨大な量の読書やレポート等の課題を毎週提出しなければなりませんでした。毎日深夜まで課題に取り組み、図書館のソファや自宅の椅子で眠ることも多かったので、背骨がゆがんだのか、留学してから身長が1~2センチ縮んだほどです(笑)。
また、日本の大学にはないような独特の方法で学業を指導している大学もあります。代表的なものは、オックスフォード大学の「チュートリアル」です。これは教授による個別指導のことで、主に学部生が対象。学んだことについて学生が毎週論文を書き、チューターと呼ばれる教授と真剣な議論をするのです。おかげで、いやでも学業が身につくようになっています(※チュートリアルについては、『海外大学へ行く “エリート高校生” が増加中! オックスフォード大学MBAが語る「海外大学の魅力」とは?』参照)。
海外の大学には、学問を修得するための環境があらゆる面で整っているのです。

【海外留学のメリット3】多様な人々とのネットワークとコミュニケーション
海外留学をすると、当然のことながら日本人はあまりいません。したがって、日本人以外の学生と友だちになりますので、国際的なネットワークを築くことができます。実際、私が留学してよかったと思う理由のひとつが、やはり優秀な人たちとのネットワーク。プロのミュージシャン、イギリス貴族、オリンピック選手、元CIA、シリアルアントレプレナー(※連続起業家)といった、多彩なバックグラウンドの学生たちとネットワークを築くことができました。
ただし、ネットワークはただ黙っていて構築できるものではありません。自身で自らの主張を発信したり、機会を見つけに行ったりしなければいけないのです。私が留学経験で感じた、ネットワークを作るうえで大切なことは、「日本を語れること」と「自ら主張すること」。
日本人がマイノリティになる感覚は、日本にいたときには考えられませんよね。でも海外へ留学すると、学校でもクラブでも、日本人は常にマイノリティとなります。そのため、「日本ではどうなの?」や「日本人としてはどう考えるの?」といった質問に常に答えられるようにしておかなければなりません。つまり、日本人としての自分の意見を常にはっきりと持っておかなければいけないのです。そうしないと、「あいつは日本人なのに日本のことを何も知らないじゃないか」と言われかねません。
私も、日本のサブカルチャーの知識は少しありましたが、高校をまともに行っていなかったので(※『高校中退の不良がなぜオックスフォード大学MBAを取得できたのか?』参照)、日本の歴史や政治・経済といったことについてはまったくわかりませんでした。それでも日本人として日本のことを語れないといけないので、海外留学してから日本の勉強をするという時期もあったほどです。
また、日本では主張が強い人が忌避される傾向もありますが、海外では自己主張しないとやっていけません。つまり、「〇〇が好き」や「〇〇が得意」といったことを自ら周りに主張しないと、ネットワークは広がらないのです。